背景がボケる仕組み:焦点距離編

写真の背景を美しくボケさせるためには、焦点距離も重要な要素の一つです。ここでは、焦点距離が背景のボケにどのように影響するのか、具体的な例を交えて解説します。


1. 焦点距離とは?
定義
: 焦点距離は、レンズの光学中心からイメージセンサー(またはフィルム)までの距離を示します。ミリメートル(mm)で表され、数値が大きいほど望遠、数値が小さいほど広角になります。

分類:
広角レンズ: 35mm未満
標準レンズ: 35mm〜70mm
望遠レンズ: 70mm以上


2. 焦点距離と背景ボケの関係
短い焦点距離(広角レンズ)
: 被写界深度が深くなり、背景があまりボケません。広範囲がピント内に入るため、風景写真などでよく使われます。

長い焦点距離(望遠レンズ)
: 被写界深度が浅くなり、背景が大きくボケます。被写体と背景が分離しやすく、ポートレート撮影などで使用されます。


図解:焦点距離と背景ボケの違い
広角レンズ(24mm)
| 被写体 |              背景              |
|——–|———————————|
|  鮮明  |        少しボケている          |

標準レンズ(50mm)
| 被写体 |              背景              |
|——–|———————————|
|  鮮明  |           ボケている           |

望遠レンズ(200mm)
| 被写体 |              背景              |
|——–|———————————|
|  鮮明  |        大きくボケている        |


具体的な例
ポートレート撮影
焦点距離: 85mm〜200mm(中望遠〜望遠)
効果: 被写体を際立たせ、背景を大きくボカします。これにより、被写体に視線が集中し、背景の不要な要素が目立たなくなります。

風景撮影
焦点距離: 24mm〜35mm(広角)
効果: 広範囲にピントを合わせ、背景も詳細に描写します。風景全体をクリアに撮影することができます。


焦点距離を活用した背景ボケのテクニック
1. 被写体との距離を調整
被写体に近づく: 被写体に近づくことで、背景が相対的に遠くなり、ボケが強調されます。望遠レンズを使用する場合、特に効果的です。

2. 背景との距離を広げる
背景を遠ざける: 被写体と背景の距離を広げることで、ボケが大きくなります。撮影場所の選定も重要です。

3. 絞り値の設定
絞りを開く(小さなF値): 焦点距離が長いレンズを使用し、絞りを開くことで、被写界深度が浅くなり、背景が美しくボケます。


実際の設定例
ポートレート
焦点距離: 85mm(中望遠)
絞り値: F2.8
被写体との距離: 2メートル

効果: 被写体が鮮明に際立ち、背景が大きくボケる。

風景
焦点距離: 24mm(広角)
絞り値: F8
被写体との距離: 5メートル

効果: 前景から背景まで全体がシャープに描写される。


まとめ
焦点距離を適切に活用することで、背景のボケをコントロールし、写真の印象を大きく変えることができます。被写体との距離、背景との距離、絞り値を組み合わせて、目的に応じた写真を撮影してみてください。これらのテクニックを実践することで、より魅力的な風景写真やポートレートを撮影することができます。


背景がボケる仕組み:絞り編

背景がボケる仕組み:被写体と背景の距離編

背景がボケる仕組み:センサーサイズ編

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