
1. はじめに ― 写真編集を快適にするために
LightroomでRAW現像をしているとき、「もう少し速くならないかな…」と思ったことはありませんか?
AIノイズ除去や高画素のRAWファイルを扱うと、待ち時間が長く感じる瞬間があるものです。
そんな悩みを解決してくれる選択肢のひとつが「自作PC」です。
「え?自分でパソコンを作るの?」と驚く方も多いでしょう。けれど、最近では初心者でも安心して挑戦できる環境が整っています。
パーツを自分で選び、「写真編集に最適化されたマシン」を作ることで、作業のストレスが驚くほど減ります。
さらに、性能面だけでなく、“自分で作るからこそ愛着が湧く”という楽しさもあります。
もちろん、最初からすべて自分で組む必要はありません。
まずは「自作PCとは何か」を知り、信頼できるお店や詳しい友人に相談しながら、理想の一台を“自分でデザインする感覚”で考えてみましょう。
このガイドでは、
◆ メーカーPCやMacとの違い
◆ 自作PCを選ぶメリット・デメリット
◆ 写真編集に最適な考え方
を、やさしく解説していきます。
2. 自作PCとは? ― “自分に合った性能を選べる自由”
自作PCとは、CPU・メモリ・マザーボードなどのパーツを自分で選び、それらを組み合わせて1台のパソコンを作り上げるスタイルのことです。
言い換えれば、「既製品のカメラではなく、自分仕様に組んだ撮影機材」のようなもの。
同じ“パソコン”でも、何を中心に使うかで最適な構成はまったく変わります。
たとえば、
◆ RAW現像やLightroom中心 → CPUとメモリの性能重視
◆ AIノイズ除去やPhotoshopの高負荷処理 → GPU性能が重要
◆ データ管理やバックアップを重視 → ストレージ構成を強化
メーカー製PCでは、これらを自分で調整するのは難しいですが、自作PCなら、必要な性能にピタッと合わせられるのです。
💡自作PCのメリット
- 必要な性能を選べる → “ムダのない構成”
- 予算内で最高のバランスを実現
- パーツ交換や増設で長く使える
- 「自分で選んだ一台」という満足感
⚠️デメリット
- 組み立てや設定に多少の知識が必要
- 不具合時のサポートは自分で対応
- パーツ間の“相性”確認が必要
ただし、初心者のうちは「すべてを自分でやらなくても大丈夫」。
信頼できるショップに「この構成で組んでもらえますか?」と依頼するだけでも、“半自作PC”として、自分仕様の一台を手に入れられます。
3. 他のパソコンとの違いを知る ― 自作の価値を理解しよう
🖥 メーカー製PCとの違い
メーカー製PC(富士通、NEC、DELLなど)は、「買ってすぐ使える」安心感が魅力。
ただし、写真編集を目的にすると“過剰な機能”や“足りない性能”が混在していることも。
結果的に価格に対して性能が見合わないケースが多いのです。
自作PCは必要な部分だけを強化できるので、同価格でも実性能が高い傾向があります。
🧰 BTOパソコンとの違い
BTO(Build To Order)とは、「自分でパーツを選び、組み立ては業者に任せる」スタイル。
まさに“自作PCの入口”です。
パーツ構成の自由度があり、保証や初期動作確認もお任せできるため、「最初の一台」としてはとてもおすすめ。
多くのフォトグラファーも、最初はBTOで構成を試し、次に完全自作へステップアップしています。
🍏 Macとの違い
Macは洗練されたデザインと安定性が魅力。
ただし、内部パーツの交換や拡張がほとんどできません。
LightroomやPhotoshopも快適に動作しますが、AIノイズ除去やGPU負荷が高い作業では、コスパ面でやや不利になることも。
一方、自作PCは最新GPUや大容量メモリを自由に選べるため、同じ予算でも処理速度を大幅に上げられるのが大きな魅力です。
💻 デスクトップ vs ノートPC
| 比較項目 | デスクトップPC | ノートPC |
|---|---|---|
| 性能 | 高性能(冷却・拡張性◎) | 限界あり(発熱・電力制限) |
| 価格性能比 | コスパが良い | 同性能でも高価 |
| 拡張性 | パーツ交換・増設が可能 | ほぼ不可能 |
| 携帯性 | ✕ | ◎ |
| 写真編集向き | ◎ | △(高負荷作業は苦手) |
📸 → 本格的にLightroomやPhotoshopを使うなら、やはりデスクトップ型。
机の上で腰を据えて作業するスタイルが“自作の強み”を最大限に発揮します。
💬 ここまでのまとめ:
- 自作PCは「目的に合わせて組める自由」が最大の魅力
- 組み立てが不安でも、信頼できるお店や友人にお願いすればOK
- 同じ予算でも性能を最大化できるのが、自作・BTOの強み
4. 自作PCに必要な主要パーツとその役割
自作PCを組むときに必要なパーツは多く感じますが、それぞれの役割を知ると、驚くほどシンプルに理解できます。
ここでは、主要な7つのパーツを簡単に紹介します。
4.1 CPU(パソコンの頭脳)
CPUは、すべての処理を担当する「頭脳」です。写真編集やAIノイズ除去のような重たい処理を快適に行うには、Intel Core i7 や AMD Ryzen 7 クラス以上がおすすめです。
逆に、ネット閲覧やLightroomで軽く写真を整理する程度なら、Core i5やRyzen 5でも十分です。
4.2 マザーボード(全体の司令塔)
マザーボードは、PCの各パーツをつなぐ「心臓のような存在」です。
CPUやメモリー、SSDなどの規格をすべて統一して管理するため、互換性が非常に重要。
初心者のうちは、信頼できるメーカー(ASUS、ASRock、MSI、GIGABYTEなど)から、中価格帯の安定モデルを選ぶと失敗が少ないです。
4.3 メモリー(作業机の広さ)
LightroomやPhotoshopでは、大量のRAWデータを扱うため、メモリーは多いほど快適。
最低16GB、理想は32GB以上を目安にしましょう。作業の余裕が一気に変わります。
4.4 ストレージ(データの保管庫)
SSDは写真編集での“速さ”を左右します。
今ではNVMe SSD(M.2タイプ)が主流で、OSやソフトを入れる「Cドライブ」用に500GB〜1TB、撮影データ保存用にもう1つ大容量HDD(4TB〜8TB)を組み合わせるのが一般的です。
4.5 グラフィックボード(映像処理担当)
RAW現像やAI処理、ノイズ除去などを行うLightroomやPhotoshopでは、GPU(グラフィックボード)の性能が大きく影響します。
NVIDIAのRTX 4060以上を選ぶと、AI処理の速度が大幅に向上します。
価格を抑えたい場合はRTX 3050でもOKですが、処理時間は少し長くなります。
4.6 電源ユニット(安定動作の要)
PCの電力を全て支えるパーツです。
安定した出力と安全性のために、信頼できるメーカー(Seasonic、Corsairなど)の80PLUS GOLD認証モデルを選ぶと安心です。
グラフィックボードを使う構成なら、700W〜850Wが目安。
4.7 PCケースと冷却ファン
見た目も大切ですが、冷却性能と作業のしやすさが重要です。
エアフロー(空気の流れ)が良く、ケーブルを整理しやすいケースを選ぶと、組み立て後の満足度が高まります。
5. 自作PCとメーカー製・BTO・Macの違い
ここで気になるのが、「自作PCって本当にお得?」「Macやメーカー製PCとの違いは?」という点です。それぞれの特徴を知ると、自分に合った選び方が見えてきます。
| 種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 自作PC | ・自分好みにパーツを選べる ・アップグレード自由 ・コスパが良い | ・ 組み立て・設定に知識が必要 ・トラブル時は自己解決 |
| BTO(受注生産PC) | ・パーツ指定が可能 ・組み立て不要 ・サポートあり | ・完全な自由度は低い ・パーツの交換が制限される |
| メーカー製PC (NEC、富士通など) | ・サポート体制が手厚い ・安定性重視 | ・性能の割に高価 ・拡張性が低い ・余計なソフトが多い |
| Mac(Apple) | ・洗練されたデザイン ・クリエイター向け ・最適化 | ・カスタマイズ不可 ・コスパは低め ・Windowsアプリが使えない |
つまり、
- 自由に性能を追求したい人 → 自作PC
- 安心して性能を得たい人 → BTOパソコン
- サポート重視・簡単さ重視 → メーカー製PC
- デザイン・一体感重視 → Mac
LightroomやPhotoshopを中心に使う方なら、自作PCまたはBTOパソコンが最も費用対効果に優れています。
6. ノートPCとデスクトップの性能差を知る
「ノートPCでも編集できるのでは?」
もちろん可能です。ですが、処理性能・拡張性・冷却性能では、デスクトップが圧倒的に有利です。
6.1 ノートPCの特徴
- 持ち運びができる
- 消費電力が少ない
- しかしCPUやGPUがモバイル用で、デスクトップ版より性能が抑えられている
- 放熱の制限により、長時間の高負荷処理に弱い
6.2 デスクトップPCの特徴
- フルスペックのCPU・GPUを搭載可能
- 冷却性が高く、長時間作業でも安定
- 将来的にパーツ交換で性能を伸ばせる
- サイズは大きいが、拡張性と耐久性は段違い
- 特にRAW現像やAIノイズ除去などの処理では、デスクトップPCのパワーが如実に表れます。
ノートPCは「外出先で軽く作業」「撮影先で確認」などの補助的用途に向いています。
💡補足:初心者なら無理に自分で全部組まなくてもOK!
パーツを自分で選んで、お店や信頼できる友人に組み立てをお願いするのも立派な“自作PC”です。
最初の1台は「パーツ構成を理解しながら、組み立てを見学する」くらいの距離感でも十分。
慣れてきたら、次のPCでは自分の手で組み上げてみましょう。
7. 組み立ての流れをざっくり理解しよう
いよいよ、実際にPCを“組み立てる”段階です。
とはいえ、最初から細かな配線図を覚える必要はありません。
ここでは、全体の流れと「やってはいけないこと」だけを押さえておきましょう。
7.1 準備と安全対策
まず、作業前には以下を整えましょう。
- 静電気対策
静電気はパーツの天敵。金属机に触れてから作業するか、静電気防止リストバンドを使うと安心です。 - 作業スペース
広い机の上で、パーツを順番に並べて整理します。 - 説明書の確認
特にマザーボードとケースの説明書は“設計図”のようなもの。
最初に一度ざっと目を通しておきましょう。
7.2 組み立ての基本手順
組み立ての大まかな流れは以下の通りです。
- CPUをマザーボードに取り付ける
ピンを曲げないよう慎重に。CPUの角にある「三角マーク」とソケットのマークを合わせます。 - CPUクーラーを装着する
冷却ファンをしっかり固定。グリス(熱伝導材)を塗るタイプの場合は、米粒ほどでOK。 - メモリーを差し込む
カチッと音がするまで差し込みます。デュアル構成なら、スロットの位置を説明書で確認しましょう。 - マザーボードをPCケースに固定する
基板裏の金属がショートしないよう、スペーサー(ネジ台座)を忘れずに。 - 電源ユニット・SSD・GPUなどの取り付け
電源ケーブルの配線は見た目より大切。エアフローを妨げないよう整理すると冷却性もアップします。
7.3 初回起動とチェック
すべてのパーツをつないだら、いよいよ電源オン。
この瞬間は、まるでカメラのシャッターを初めて切るような緊張とワクワクが同居します。
起動後、まずは以下を確認します。
- ファンがすべて回っているか
- 画面にBIOS(起動画面)が表示されるか
- エラー音が鳴らないか
これらが確認できたら、組み立て成功です!
「本当に動くのかな…?」という不安は、電源が入った瞬間に感動へと変わります。
💡ワンポイント:最初の1台は“見て学ぶ”でも十分
初めての人は、パーツを揃えて「お店や詳しい友人に組んでもらう」のも立派な選択です。
自分で組むのは、2台目でも3台目でもOK。
最初は構成を理解することが、いちばんの学びになります。
8. 自作PCを快適に使うための初期設定
組み立てが終わったら、次はソフトウェアの準備です。
ここを丁寧に進めることで、写真編集の快適さが格段に上がります。
8.1 BIOS設定での確認ポイント
BIOS(UEFI)はPCの基本設定画面です。
起動時に「Del」キーや「F2」キーを押すと入れます。
チェックすべきポイントは3つ
- ストレージが認識されているか
- メモリーが正しい容量で動作しているか
- 起動順位(Boot Priority)を「SSD → USB → DVD」の順に設定
また、メモリーの性能を引き出すために「XMP」または「DOCP」を有効にしておくと◎。
これにより、メモリーが定格より速く動作します。
8.2 Windowsインストール
OSを入れるためのUSBメディアを準備します。
Microsoft公式サイトから無料で作成可能。
SSDにインストールすることで、起動が圧倒的に速くなります。
セットアップ時は
- Microsoftアカウントを作成(バックアップも容易)
- Windows Updateをすべて実施
- 不要なアプリは削除
8.3 ドライバーとアップデート
各パーツの性能を最大限に引き出すには、最新のドライバーが必要です。
とくにGPU(グラフィックボード)は、NVIDIA公式の「Studio Driver」版を選ぶと、LightroomやPhotoshopで安定動作します。
8.4 Lightroom・Photoshopの設定最適化
Adobeアプリをインストールしたら、以下の設定も確認しておきましょう。
- [編集] → [環境設定] → [パフォーマンス]
→ グラフィックプロセッサを有効にする - キャッシュフォルダーをSSD上に配置
→ 読み込み・書き出し速度が大幅アップ - バックアップは外付けHDDまたはクラウドへ
これで、撮影から編集、保存までのワークフローが格段にスムーズになります。
9. 長く快適に使うためのメンテナンスとアップグレード
自作PCは「作って終わり」ではありません。
大切なのは、長く快適に使い続けること。
少しのメンテナンスで、性能を何年も維持できます。
9.1 定期的な清掃
ホコリはパソコンの大敵。冷却性能を下げ、熱暴走の原因になります。
月に1回、エアダスターでケース内部を軽く清掃
吸気ファンのフィルターは水洗いOK
GPUやCPUクーラーのファン周りも忘れずにチェック
9.2 温度管理と負荷チェック
夏場は特に注意が必要です。
「HWMonitor」「MSI Afterburner」などの無料ツールで温度を確認し、
CPUが90℃を超えるようなら、ファン設定やグリスの塗り直しを検討しましょう。
9.3 パーツの交換・アップグレード
自作PCの最大の魅力は、パーツを自由に入れ替えられること。
例えば:
- SSDを2TBへ交換 → データ容量を倍増
- メモリーを増設 → Lightroomのプレビュー処理が速く
- GPUを新世代へ → AIノイズ除去や生成ツールの処理が高速化
必要な部分だけ強化すれば、長く最新環境を維持できます。
9.4 トラブル時の基本対処
電源が入らない・画面が映らない場合は慌てずに。
- ケーブルの抜けを確認
- メモリーを差し直す
- BIOSリセットを試す(マザーボードのボタンまたは電池抜き)
意外と「単純な接触不良」で解決するケースがほとんどです。
9.5 自作PCの楽しみ方を広げよう
一度組み上げたら、次は「静音化」「冷却改良」「ケーブル美化」など、より“自分らしいPC”に育
ていくのも楽しい時間です。
カメラで例えるなら、最初のレンズキットから単焦点レンズに変えるような感覚。
自作PCも、自分の作業スタイルに合わせて進化させることで、
愛着のある“相棒”へと育っていきます。
まとめ:自作PCは難しくない、“理解”が一番の第一歩
最初は難しく見える自作PCも、仕組みを理解すれば決して敷居は高くありません。
自分でパーツを選び、思い通りの性能に仕上げる過程は、まるで光と構図を自分でコントロールするカメラの世界に通じています。
そして、トラブルもまた経験の一部。
失敗を重ねながら、自分の「理想のマシン」を追い求める時間こそ、自作の醍醐味です。
💬 最後に一言
もし「組み立てるのはまだ不安…」という方は、
お店でパーツを買い揃え、「この構成で組んでもらえますか?」と相談すればOK。
自作の入口は、意外と身近なところにあります。
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